2010年8月5日(入院日記抄)

 60代半ばになって、生まれて初めて自分の体にメスを入れざるを得なくなったとき、ああとうとう体を切り刻まなければ生き延びられない年齢になったのかと、つくづく考えさせられた。それ以来自分の老いについても考え方が少しずつ変わっていったように思う。

 有り余るほどの活力を持って生きている人と老いていく人が直面する病では受け止め方が違う。前者は病と格闘するが、後者は結局は受け入れざるを得ないのだ。

 70年以上使い続けた体は至る所できしみ始める。高齢者の病はきしみと不可分にむずびついている。老いの現象と病を明確に区別することなどできないのだ。

 残念なことに知力は衰えない。記憶力は確実に落ちてはいるが論理的な思考能力はあまり衰えない。感性も同様だ。美しいもの、魅力的はものへの憧憬はむしろ強まる一方だ。体力の衰えとのギャップが焦燥感を生み出す。生きたいという希みはますます強くなる。だから私の病院通いは続く。

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このページは、kitanihitoが2010年8月14日 13:37に書いたブログ記事です。

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