2011年8月アーカイブ

 8月になると方々の大学でオープンキャンパスという行事がある。地下鉄の車内では各大学の趣向を凝らした宣伝ポスターが入れ替わり立ち替わり登場する。広告を見る限り表現方法方の差こそあれ模擬講義とならんで学食体験が重要な催しになっているようだ。
 地下鉄の車内を観察するとオープンキャンパスの帰りの高校生たちを見かける。若者の好みに合わせたカラフルな大学の名前入りの手提げ袋を持っているからすぐにわかる。以前と比べたらこの風景はかなり様変わりしている。紙袋がビニールや不織布出来た手提げ袋に変わり、以前は資料を取り出して車内で眺めていた光景もあまり見なくなった。どうも包装したお土産とおぼしきものが入っているようだ。
 私は私立大学で何年か働いたが、オープンキャンパスの仕事はしたことがないから実態は知らない。勤務した大学ではどうだったのだろうか。昔の同僚に電話して聞いてみた。「土産を差し上げる,学食で無料で食事を提供するなど,ずっと前からどこの大学でもしているこですよ」と答えが返ってきた。
 大学のポスターをよく見ると、「おみやげありますよ、学食もただですよ」と公然と広告している大学もある。土産とただ飯で受験者が本当に増えるのだろうか、国民の税金で助成を受けていながら、今の御時世にこのような無駄な支出は許されてよいものか、これではか最終消費財を販売する企業が競争で優位に立つためにおまけをつけるのと変わるところがないではないか、なんと低劣な行為かなどといろんなことを考える。このまちには大学が多い。お腹がすいたらオープンキャンパスに出かけで見ようかなどと具にもつかぬ事を妄想している。しかし待てよ,大学である以上すこしはましな施策につなげる隠された目的もあるのかもしれない。
 先日ある雑誌に興味深い記事を発見した。『エコノミスト』8月2日号ほ編集後記で松本裕子さんが「過保護な大学生」という表題で面白いことを紹介している。ある大学の学食の掲示板に「食堂の利用状況を家族に毎月郵送します」という掲示が合ったという。経営する生協に聞いてみると、食費前払いのカードを購入すると、何を食べたかについて栄養情報も含めて実家に通知されるようになっているのだそうな。この制度は子どもの食生活を把握できると好評なのだという。
 要するに学食は義務教育での学校給食と理解されているように思われる。オープンキャンパスはいわばその学校給食の試食会なのだろう。親も子も幼稚になり、大学制度をむしばんでいるのだ。  
 

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