2012年5月31日ー吉田秀和も新藤兼人も逝ってしまったー

   5月22日、評論家吉田秀和が逝った。98歳であった。言葉の力で自立する文章家であった。音楽評論などに時々接しながら、その自立した姿勢に惹かれた。評論のあるべき姿に最も近い形を示してくれて、私が目標とする大先達であった。
 昨日は、映画監督で作家の新藤兼人が逝った。100歳であった。愚直なまでに、自らの生活感と体験を普遍化して示してくれた。遺作となった映画『一枚のハガキ』は今にして思えば彼の体験普遍化の集大成だったのではないか。この姿勢に私は共感を覚え続けてきた。
 このお二人の仕事を若者たちが読み継ぐで欲しいと思う。私にとっては追いかけて生きる大きな目標を二つ失ったことになる。彼らの死によって私は自らの力で海図なき航海に漕ぎ出さねばならない年齢に確実に到達しつつあるのだ。

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このページは、kitanihitoが2012年5月31日 14:28に書いたブログ記事です。

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