2012年6月8日ー西陣・喫茶静香ー

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 千本今出川西南のバス停前に、気になる喫茶店がある。外観から見て戦前からの店のようだ。入り口は最近の自動ドアや引き戸ではなく、観音開きで真鍮製の把手、はめこまれた一枚物のガラスに花の図柄のフッ素による彫刻が施されている。面白いのはガラス窓に内側から貼られたポスターだ。特に「懐かしいホットケーキあります」には考えさせられた。ホットケーキが懐かしい食べ物であるはずがない。昔を偲ばせる味ということなのだろうか。「ます」を正方形に斜線を入れて表現するやり方など今の若者たちの絵文字も形無しだ。店の名前「静香」も女主人の雰囲気を想像させて覗いてみたい気持ちを昂ぶらせる。
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 このまちにはお化けが出るような古い小料理屋、喫茶店が多い。ほとんどの市域が前の大戦の戦災をまぬがれたという事情もあるが、所有者が古いスタイルへのこだわりをまもっているからであろう。昔と変わらぬ花街の存在も影響しているのかもしれない。
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 そういうわけで6月5日正午過ぎに、減量作戦の禁を破ってホットケーキを食すべく、ドアの把手をおそるおそる引くことになったのである。1938年(昭和13年)の開店という。天井のシャンデリアは当時のものと違うが、それ以外は開店時の雰囲気をよく残しているように思われた。西陣が繁栄していた頃にはこの地域きってのハイカラな店だったのだろうと想像する。テレビの台になっている電蓄は戦前のものか、NCRのレジスターはまだ現役であった。
 私より少し若い女主人にホットケーキの由来や静香という名前について取材するつもりが、彼女の迫力に押されて聞きそびれた。もう一度覗いてみることにしよう。

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このページは、kitanihitoが2012年6月 9日 20:37に書いたブログ記事です。

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