2014年2月アーカイブ

78歳

 先日78歳の誕生日を迎えた。この年齢までこの元気さで生きられるとは思ってもいなかっただけに、最近の1年、1年は誕生日を迎えるたびにうれしさが増してくる。いまの体調であれば100歳まで生きて末世を観察できるような気もしてきた。
 しかしあまり欲張らないことだ。厚生労働省の「平成13年生命表」によると、78歳の平均余命は9.21年、この年齢で死ぬ比率は4.90パーセントだという。この数字で見る限りあと9年、つまり87歳までは生きられるということになる。そこまでいまの調子で生きれたら、次の生き方はその時に考えることにしよう。
 このように比較的快適に体調を維持できたのは、幾度かの大病を克服できたからだ。大病を患ったことで、死が私を突然迎えに来る、そういう年齢になったことを悟った。同時に自分の体調を客観的に観察するすべも身につけた。診察してくれる医師たちに対する以前のような抵抗感は失せ、感謝と敬意の気持ちで接することができるようになった。
 いまも再発を防ぎ、体調を維持するために週3回、午前中の時間を費やしてリハビリとストレッチに通っているし、それに加えて、月に1回、あるいは3ヶ月に1回の頻度でいくつかの診療科に通院している。病を得たことで、私はかこれまで体験したことのない新しい人との交流が広がった。大きな喜びを得ている。大学という隔絶されて虚構に満ちた世界に比べたら、まわりにいる肉体的老いと格闘している人びとの生き様はなんと豊かなことか。その人たちに接して多くのことを学んでいる。自分がなんと世事に疎い人間であったかと反省している。
 家事も多忙を極めている。散歩をかねて食材を買いにまちにでる。大学教師をしていた頃は、時間が惜しむあまりまとめ買いの日常だった。病のため腕力が弱くなったせいもあるが、いまでは非効率に動きまわることをいつもこころがけている。買い物散歩は3コースあり、それそれに立ち寄るお気に入りの喫茶店がある。こういう生活は教師をしていた時は願ってもできなかったことだけに、楽しいものだ、
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 その合間に、研究と執筆を続けている。昨年は電子書籍叢書第1号を発刊して、私の研究所もようやく軌道に乗った。この研究所はネット上のヴァーチャルな組織だから、特定の住所があるわけではないが、しいていえば本拠地はコンピュータのある自宅の小さな仕事部屋だろうか。岡崎の京都府立図書館や近くの大学の図書も利用させて頂いている。大学院学生に戻ったような気分で、新しい資料を発見したり視野が突然広がったりすると、思わず声を上げて喜びたくなる。
 体力の衰えは確実に進んでいる。それを「老い」と呼んでも一向に差し支えない。だが、「新老人」とか「老人」とかレッテルをはられ分類されたくない。この年齢になってはじめて人は自分の個性を自覚できるようになる。個性は人それぞれ、誰かをまねできるような生き方なんてな
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いのだ。余計なことを生活からそぎ落として、見つけた個性を磨くことに集中すれば精神も感性も若い時代よりもはるかに豊かになる。そのように生きられたら、こんな楽しい時期はない。そうありたいと願っている。(2014.2.24)

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