2012年5月アーカイブ

すり込まれている筈の風景ー改訂増補版

  私の戦争体験に関わってこの10年間に執筆した文章を発表順に並べて冊子にしてみた.最初の「2003年8月根室行」はウェブサイト上で公表したもので,『葦牙ジャーナル』第52号(2004年6月)に収録された.「奇妙なスポーツ賛歌」は以前に勤務していた名城大学のアメリカンフットボール部イヤーブック『ゴールデンライオン』2004年度版に掲載された.学生たちの激励を目的に執筆したものだが,戦時下の体験に触れているので収録した.「すり込められている筈の風景」はウェブサイトに公表した.イラク戦争,東京空襲60周年,戦後60年の議論,日本と同じ状況で戦後を出発しなければならなかったドイツの議論に触発されながら書きつらねたものである.「果てからの声」は,「京都グローバリゼーション研究所通信」第3号(2008年3月),第4号(2009年9月)に公表したもので,私のウェブサイト上でも読むことが出来る.
 戦争犠牲者は靖国に祀られる「神々」だけではない.愚かな指導者の決断によって多くの無辜の民が殺戮され,苦悩の中で生きることを余儀なくされたことに,一体誰が責任を取り,誰がその体験を尊重し,敬意を払ってきたというのか.私が体験した戦争は沖縄戦や東京大空襲などに比べると些細なことかもしれないが,思い出したくもない記憶をあえて呼び起こし,それを書き連ねることにも意味があることのように思えてきた.無関心,無視という状況を意図的に作り出して特定の政治的意図を実現する現代日本の風潮に,たとえささやかなものではあっても抵抗する試みでありたいと願っている.
 この冊子は,私の執筆構想の半分にも満たない.書きためたものはその都度増補し,最終的には電子書籍化するつもりでいる.感想,意見等をお寄せ頂ければ幸いである.(2012年5月)

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