十三行考古博物館ー2010年4月台湾の旅(2)ー

 R君が台湾人の祖先の遺跡があるので見に行こうとさそわれた。淡水のまちのかわをはさんで対岸になるという。橋が近くにないので大きく迂回をしてむかうことになった。地下鉄のあるなしでまちの景観がこれほどまでに違うものか。高層マンションも見当たらず、対岸の淡水に比べてかなりみすぼらしい。石材を産出するらしく加工工場が多いこともこの印象に影響している。
 公共工事の際に先史時代の集落遺跡が見つかり、出土品を保存展示する立派な博物館が建設された。南太平洋から移動した集団でかなり早い時期から定住し、しかも鉄器を使用していたという。博物館が立派なのには理由がある。大陸から「漢人」が流入する以前からこの島には先住者がいたということは、台湾人にとって、とりわけ中国からの独立をめざす人々にとっては、この国の歴史が漢人の移住に限らないことが示されたのだから、喜ばしいことではあった。
 台湾は中国から独立するためには、国際世論に支持されるのに十分な拠り所を提示しなければならないのはいうまでもない。それは何だろうと私は考える。国民国家や国民経済、民族自決権に関するこれまでの論議は大国の論理を反映したものだったと思う。大国が人種や民族が持ち得た歴史、文化、言語の共通性を小国が独立や分離の論理とするには無理がある。小国の国民の利益をどのような原則で承認するのか、多様な人種構成、多様な歴史的体験を統一した国民的意識にどのようにしてとりまとめるのか、この国に限ったことではないが「小国」を旅するといつも考えさせられる。
(2010.4.22)

ウェブページ

Powered by Movable Type 5.01